12月７日　一般社団法人COCO-ARUBA理事　照井智子氏と社会福祉法人悠和会銀河の里　宮澤健理事長を講師としてお迎えし、『地域を引っ張る産業と人材　福祉の新展開』のお話しをいただきました。

　照井さんは、花巻市のまちなかの商家（お花屋さん）生まれの生粋の花巻人。3人兄弟姉妹の長女、四世代同居の大家族の中で育ちました。「まちに暮らす誰もが、それぞれにとって居心地のいい「場」をつくりたい！　福祉の隙間に落っこちちゃった人のために、起業する！！」と決断した妹さん（COCO-ARUBA代表　髙橋早苗氏）とタッグを組んで、幅広く活動されています。そのキーワードは、「場（バ）」の創造。サポートスペースの「ココ?アルバ（有る場）」では、相談支援事業／指定特定相談支援事業（者?児）を、多機能型事業所の「ココ?ミガクバ（磨く場）」では、就労移行支援／自立訓練（生活訓練）／就労継続支援B型を、活動創造空間の「ココ?イルバ（居る場）」では、ワークショップ／レンタルスペースを、「ココ?タベルバ（食べる場）ラパン」では、ランチ／喫茶／お弁当を提供。さらに、とりあえずの「ココ?クレバ（来れば）」ではコミュニティ食堂を、ディサービスセンターの「ココ?エルバ（得る場）」では、地域密着型通所介護事業／総合事業（通所介護）を展開し、文字通りまちなかで事業（起業）しています。
まず、照井さんがここまで来るに至った学びの経験（リノベーションスクール＠花巻、花巻信用金庫　起業家塾塾等々）の紹介がありました。続いて各事業の概要を説明してもらいました。照井さんは各事業に、まちなか育ちの感性、視点、洞察力で立ち向かっています。利用者と職員が大きな家族の様になり展開されている事業内容を聴き感銘を受けた学生が大多数でした。「困りごとを持っている人は、自分が何に困っているかを知らない時もある」、「自分が苦手なこと＝誰かの得意なこと??あなたの得意なことはなんですか？??」というキーワードで講義を締めくくられました。

　講義後半は、トーンは激変しました。広島から花巻に移住し、地域?地元に張り付いた「高齢者福祉サービス事業」と「障がい者福祉サービス事業」を実現?実践されている宮澤理事長のお話しでした。講義は、世界の人口が80億人突破の話から始まりました。宮澤理事長の持論は、「活性化が必要なのか？　むしろ沈静化が必要なのではないか。」、「貧乏でも文化的に豊かに生きられないか。物資的豊かさでなく、精神、内面の豊かさを目指せないか。」「切れてしまった関係を取り戻せないか（世界、宇宙、他者、自然、死、あの世等の関係）。」ということで、そのお考えについていろいろな解説がありました。普段の授業では学べない内容であり、含蓄に富む（学生に吟味を迫るものばかり）ものでした。銀河の里は、単なる社会福祉施設ではありません。銀河の里に集うこと、住まうこと、暮らすことが「芸術×農業×哲学」という宮澤理事長の美意識の体現となっています（集う皆で実践しています）。施設と事業、そして四季折々の美しい風景とそこに笑顔で暮らす利用者と職員の映像の紹介で授業は終了しました。

　講義終了後は、地域連携推進センター主催の「地域活性化論研究会」を開催。照井理事、宮澤理事長、COCO-ARUB高橋代表と吉田職員、本学教職員４人で、授業振り返り、情報交換、意見交換を行いました。

学生のレスポンスカードには
?貧乏でも良いという考えを初めて聞いたが、そんな意見もあって良いのだなと考えさせられた。お二人の話を聴き世の中にはいろいろな思想を持つ人がいて面白いなと感心した。
?銀河の里では暮らしを楽しんでいる。高齢者の知恵が生活に活かされている。
?部活でチームスポーツをやっており、自分の苦手なこと＝誰かの得意なことに納得共感した。
?そもそも何が銀河の里なのか、全ては問いかけから始まることがわかった。
?比較による相対的な活性化ではなく一定程度の独立した生活圏を形成するミクロレベルでの活性化をするべきなのだと感じた（おそらく）。
?今日は人の温かさを感じられる講義だった。
?せっかく花巻に大学があるのだから若さを活かして富士大生がこういった活動に参加すれば自分の学びにもなるし、まちへの恩返しにもなる。もっと連携をしていけたらと思った。
?「隙間」という考えはあまり自分の中にはなく、新鮮な見方、考え方を得ることができた。
?お二人の行動力?実行力が凄いし素敵だと思った。精神的な内側の活性化が必要はなるほどなと思った。
などがありました。



写真1　　左から　宮澤理事長、照井理事、遠藤教授



写真2　照井理事　授業風景



写真3　宮澤理事長　授業風景



写真4　　質疑応答



写真5　地域活性化論研究会